YO

 

立命館大学BKC/Fusion Of Gambitの3期生。

現役時代はsKylishというチームで活動し、現在は、大阪府の島本町・京都府の長岡京で週に一回ずつダブルダッチの教室で指導にあたっている。DOUBLE DUTCH MAN第一回目のヨッシーが、世界一になるきっかけを与えた人物でもあるヨウの、パフォーマンスに対する考え方に迫ってみた。

 

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 IKEPON(以下I) ヨッシーの話の中で、ヨウさんが大きな変化のきっかけになっていたとのことだったんですが、戎と出会うまでのいきさつを教えてください。

 

YO(以下Y) ヨッシーたちがこのままだったら上達しきれないな、という思いから、FOGの先輩たちに話を聞いていくうちに、「ヨウさんという人がいるから、見てもらったらいいんじゃないか」ということを聞いたみたいで、戎からのアプローチがあったかな。

 

I 今でこそ世界一位となった戎ですけど、最初に戎と会った時の印象はどんな感じでしたか?

 

Y 2回生のコンテスト前くらいから見始めたんやけど、その時は絶対無理やと思った。() 絶対に無理やと思ったわ!何回も言うけど!()何が出来てなかったかというと、まずチームじゃなかった。

 

I チームじゃなかったというと?

 

Y 要するにみんなが同じ方向を見れていなくて、戎というチーム名があって、6人が集まってダブルダッチしてるだけって感じやった。ということは、悪く言うと子供が6人集まって遊んでんのと変わりないっていうこと。で、なおかつヘタクソ。

 

I 技術的に、ですか?

 

Y そうそう!縄もヘタクソ。でも「勝ちたい」って言うから。だから印象としては、まず縄の基礎もやらなくちゃいけないし、チームとして同じ方向を見ることがスタートだな、っていう印象だった。

 

I 同じ「勝ちたい」っていう言葉の中でも、メンバー間では気持ちの強さがバラバラだったっていう感じですか?

 

Y うん、そう。いつも後輩には言うんやけど、「なんのために勝つのか?」「なんで勝ちたいのか?」、それは絶対に聞く。その答えは、チームそれぞれの想いでいいと思うんやけど、6人が1つのものを共有しておかないと、しんどい時にチームがバラバラになってしまうし、何よりも深みがでてこない。そういった目的とか目標の共有があるから、1つのテイストのものが生まれてくるし、ひとつのまとまった作品が出てくる。一般的に言われるオリジナリティとか、いい作品というのは、そういったところから生まれてくる。

 

I ヨッシーも言っていた、「なんでこの曲なのか?」「なんで楽しませたいのか?」といったような質問も同様に、目的の共有のために必要なプロセスだと考えているからですか?

 

Y そう。例えば曲に関しては、同じ気持ちでその曲を聴かないと、同じ気持ちでデモが出来ないし、一つの動きを決める時も「なんでそいつがその動きをするのか?」っていうのをみんなが共有しておかないと、同じ気持ちで舞台に立てない。舞台っていうのは一瞬一瞬皆が同じ気持ち・同じ表情でやることによって、目に見えないチカラも出てくるし、口ではうまく表現できないけど・・・人が感動するっていう要素はやっぱりそこから出てくる。なのに、そういう時に一瞬一瞬舞台の上で違うことを考えている人がいると、当然アウトなわけです。みんなが一秒一秒、想いを共にしてデモンストレーションをして欲しい、ということを考えると、なぜその曲を使って、なぜその動きなのか、っていうのがまずはっきりしていないといけない。でないと、そのチームは絶対に強くなれない。だからそれを一番はじめに聞く。

 

I 目的の共有、それって現役のプレイヤーにとっては、とても難しいことですよね。

 

Y うん、難しい。それって結局何が言いたいかというと、ホントに多くのチームのみんなが「勝ちたい」と言うけど、それが漠然としすぎている、っていうこと。勝ちたいんやったら、勝つための方法論が自分たちなりにはっきりしてないと、勝てないよね。だってどうやって勝つかを考えてないんやもん。勝ちたいから、思いっきり基礎の練習もするし、デモも作るんやけど・・・確かにそれで基礎技術はつくし、デモもつくれるけど、その先がすごく甘い気がするんよね。「僕たちはこんな勝ち方がしたいから、この曲を使って、こういう動きをしようよ。それを成功させるためにはこんな練習が必要だから、今月はこういった練習方法をしていこう。」っていう方法論がはっきりしたときに初めて基礎の練習の意味も出てくるし、アウトプットされるものに説得力が出て、内容の濃いものになってくると思うよね。そこまで考える時間がないのかもしれないけど、勝ちたい!ガムシャラ・!一生懸命!で終わっているチームが多過ぎると思う。また、一応その方法論は考えたんだろうなっていうのは伝わるけど、突き詰められていない場合も非常に多い。

 

I 勝つための方法論っていうのはいくつかあるとは思うんですけど、その中でもヨウさんが一番の方法論だと思うことが、「全員で同じ方向を見ること」なんですかね?

 

Y そうそう。方法論は他にもあると思うし、おれはその方法論ってチーム全員が同じことを考えられていれば、間違っててもいいと思う。それが独自の方法論になってくるし、それを持ってしても勝てへんかったら、それはもうしゃあないと思う。そこまでして勝つ必要性は無いとまで思ってしまうわ。やっぱりパフォーマンスって「表現」やから・・・どちらにしても、自分が「これだ!」と思って、思いっきりガムシャラにやったことは、2回生の場合は次の大会に活きるし、3回生の場合は、やってみて通じた部分、通じひんかった部分がそれからの人生に生きてくるからね。おれが戎に教えた方法論は、「独自に考えてください」ってことで、これ以外はほとんど何も教えなかった。自分らが「これや!」と思うことをやってくれ、と。ただ、周りに100点と思われるために、色んな先輩に話を聞きに行って、こういうデモがいいらしい、こういう曲がいいらしい、じゃなくて!!練習内容も自分たちで決めたらいいし、自分たちが必要だと思うことを身に付けられる練習を考えなさい。周りの100点を目指すんじゃなくて、自分たちの100点を出せるように。自分たちの100点をまず大会で出して、周りが120点って言ったら、「こういうとこはやっぱり評価してもらえるんやなあ。じゃあこれを少しでも150点に近づけられるように頑張ろう!」と思ったらいいし、自分たちの中で「バッチリ100点やー!」と思っても周りの評価が60点だったときは、その40点が何だったのか考えればいいと思う。その積み重ねで初めて自分たちのノウハウが生まれるし、自分たちの作品っていうのが出てくる。だから「周りの100点を目指すんじゃなくて、まず自分たちの100点を出せるチームになりなさい」これしかほぼ言ってへん。周りに100点って言ってもらおうとして、「これやったら100点くらいかな~」っていう気持ちで作ったものでは100点は出ないと思うけど、逆に自分たちの100点をとにかく追求した人はもしかしたら200点出せるかもしれん。

 

I 周りから見たら、ですか?

 

Y そうそうそう!それがダブルダッチを含め、パフォーマンスなどの表現にはすごく大事なことだと思う。

 

I それってパフォーマンスだけじゃなく、人生においてもそうかもしれないですね!

 

Y そうだね。今、世の中の風潮として「周りにどう思われるかな?」という感覚の強い人がいると思うけど、まずは「自分の100点を出しきろう!」っていう想いは絶対に忘れちゃいけないと思う。

 

I でも普通に日々を過ごしてたら、「自分の100点」ってことを突き詰めることは少ないかもしれないですね。

 

Y ないやろうねえ。でも、舞台に立って人に表現するということは、単純に人に何かを伝えようとしている。その伝えることや、伝える方法がはっきりしてないのに、当然人は感銘を受けないし、感動もしない。何も考えないでサーカスをやられたって「すごい」で終わってしまうと思うんやけど、見ている人に想いの丈が伝わって、自分の感情が動かされたときに「あのチームすごいな」ってなる。それはすごく大切な感覚だと思うし、何かを表現する人が大事にしなくちゃいけないことだろうね、多分。

 

I 今言ってもらってきたことって、なかなか気付けないことだと思うんですけど、こういった考えに行き着いたきっかけになった経験があったんですか?

 

Y 多分理屈っぽいから。()

 

I 性格がですか?()

 

Y うん、それは多分あると思う!ひとつの事象に対して「なんでそうなるんやろ?」「なんでこうなるんやろ?」っていうのがすごく気になる。いわゆる理科系人間なんやろうと思うんやけど、たぶんそれがひとつの物事に対して、理由とか理屈を知りたいっていう要因になってると思う。

あともう一つ明白なのは、サークルが強くなかってん。JAPANなんて当然難しいし、もっと言うとチームを組んで長く続けることすら難しいくらい、厳しいサークルだったと思うんよね。他のサークル、特にDUT(※1)、ダッチゃ(※2)、SVP!(※3)がなんで最終的にあんなに上手になっていくんやろう、というのを考えて考えて、でも全然わからんまま2年くらいやっていって。で、3年目に京都産業大学のツグさん(※4)という人に出会って、基礎技術を教えてもらったことも大きかったんやけど、ツグさんからつながって色んな人との出会いがあった。そんな中で、なんであの人たちは勝てるのかな、どうやったらこの技術が後輩たちに伝わるかな、どうやったらこのサークルがもっと良くなっていくかな、というのを365日中360日くらい考えているわけですよ!そうするとやっぱり見えてくるものもあるし、一生懸命やっていると、類は友を呼ぶじゃないけど、いい出会いがたくさんあって、いろんな話をしていくうちに、また自分でも考えるからさ・・・どういう要素があのチームを強くしてて、どういう要素があの人をカッコよくしているか、そういうことを繰り返し考えていくうちに、あっなるほど!っていう発見がたくさんあった。最後はそれを自分の頭の中で噛み砕いて、処理して、今の気づきがある。

で、もう一つはやっぱりたくさん本を読んだり、映画などの作品をみて考え方を吸収する部分もあるし、面白いと思ったものに対してはなんで面白いのかを常に考えるようにしたから、そうすると面白いモノってこういう構造してんのやなーとか、面白いと思う作品ってこういう動きをするんやな、っていうところにつながっていったのもある。

もとからそれを人に教えたり伝えたりすることが好きやったということもあって、それを教えたり伝えたりしていくうちにさらに発見があってより一層面白くなってきた。実はそれをやり始めたときに入ってきたのがイケポン(※5)たちの代やってん。すごく形になってきてよかったかな。

 

I その僕たちの代から、3回生時、全チームがJAPANに行ってるって知ってました?

 

Y 行ってますねー!()僕らがラインですね!()

サークルが強くなった姿を横で関わりながら見てきたけど、何がオレらの時と違うかっていうと、考える量が全然違う。オレらも相当考えたけど、間に合わんかったんかな。でもどうにかこうにか伝えようと思って。イケポンたちの代のみんながものすごく話を聞ける人達やったから、それを吸収してくれて3回生では、ああやってアウトプットしてくれたんやと思う。バロンやHUMPTY(※)に関しても人の話を聞ける人が多かった、うちのサークルのいいところは人の話を聞ける人が多い、それに尽きるんやなあと思う。それが風潮としてあるからバロン・HUMPTYの後も、戎やM.A.Dが最終的にすごく伸びたのかなあと思う。

 

I なるほどー。他のサークルとかを見ることはないですか?

 

Y ないですねー。まあ来てくれって言われたら、時間割いて行こうとは思うけど、呼ばれてもないのにいきなりジャーンって現れるのも変やし()でも今回のインタビューを見て是非出会ってみたいと思う人がいれば、連絡くれたら嬉しいけどね。

 

I 僕もヨウさんの言葉をダッチやってる人にもやってない人にも聞いて欲しいなっていう気持ちはあったんです。DOUBLE DUTCH MANvol.1も、元々はダッチを現役でやってる人向けに作ったものなんですけど、意外とダッチをやってない人からの反応もあって、やっぱりダブルダッチは他のフィールドにも通じるものがあるんだなあという再認識になりました。

 

Y そうだねー。じゃないと後輩達に大切な学生時代の自由な時間を割いて、一生懸命やれって言えへんと思うわ。思いっきりやった後の感覚とか、思いっきり成功や失敗した後の新しい自分っていうのは何事にも代え難いものやと思う。時間割いて、思いっきり情熱傾けて成功する、思いっきり情熱傾けて失敗する。この成功と失敗っていうのは、ホントにちょっとの差で、その先に待ってるものは一緒やと思うよね。特にダブルダッチとかダンスっていうのは、表現だから。受験とかやったら点数足りひんかったら、多少人生変わったりするんかもしれへんけど。

 

I たしかに結果も大事は大事なのかもしれないけど、その先に待っているものの方が後の人生にとっては大切ですよね。

 

Y そうだね。ただ自分達の中で、その結果にすごく価値を感じるからこそ、情熱を傾けられる。だから、その存在はやっぱり大切だよね。うん。

 

I 結果が分かるまでは、結果ってめちゃくちゃ大事ですけど、終わってしまったら結果ってそこまで大事じゃないっていう感じですかね。

 

Y そうだね、特に世の中にとっては全然大事じゃないかもしれないよね。でもそこで培われた「何か」っていうのは世の中にとってもすごく大事なものだからね。だから何も考えないで勝ったって、それはあまり世の中の為にならないと思う。そこで感じたことを次の世代に伝えよう、そこで感じたことを自分の周りにいる大切な人に伝えよう、そこでこう感じたから社会に出てからこういう活動をしよう、ということはすごく生産的かなあと思う。

 

I あーそうですね!ホントにそう思います!!

 

Y お金を生み出すことだけが生産的って訳じゃなく、世の中に生み出さなきゃいけないモノっていうのはホントにたくさんあって、それを色んな人が忘れてる気がするよね。この間、銀行の社員さんが横にまだ落ち葉あるのに自分の銀行の前だけ掃き掃除して終わったのを見てびっくりしたもんね!ちょっとくらい一緒にしてあげといたらいいのにってすごく思った。そういう心も大事なんちゃうかなって。

 

I パフォーマンスって実はそういう心の塊かもしれないですね。無駄だらけっていうか(笑)やらなくてもいいことっていうか。

 

Y そうやね!やらんくてもご飯食べれるし。しかも、やらんかったほうが時間できて彼女大事にできるし。でも実は、そこを一生懸命やったほうが相方さんであったり、彼氏彼女を大事に出来てるってことになるんかもね。本気で何かをやるってことは時にものすごく時間を割くものなんやけど、そこから生み出されるものは大きいよね。経験値にしてもそうやし。

サークルの運営に関しても、ただ全員が自分が表舞台に立つためだけに時間を割くと、そのサークルは絶対に強くなれないかな。でも長期的な目を持って、3年後にこうなればいいから、今1年目のおれらはコレをやろう、でそれを見てきた後輩が2年目にコレをやろう!で、そのあともずっと3年後、4年後って・・・。で、5年目ぐらいでやっと華が咲いて。そういう縁の下の力持ちじゃないけど、長期的な捉え方をして土台になれる人っていうのが、どこにとってもすごく大事。そういう人たちが世の中に増えるだけでずいぶんといい世の中になると、おれは思うんやけどねえ。ほんまそうですよ()

 

I なかなか難しいことですよね、それって。

 

Y うん難しいね!おれも徹底してやれるかって言うと、たぶん無理!それはでもいろんなこと経験して自分が30、40歳になってきたときに街のためとか、市のためとか、もっと言うと社会全体のためにいろいろやっていけるといいんやろうなって思う。

 

I 結局パフォーマンス自体にもそのあたりの心が絡んでくるってことですよね。

 

Y うん、多分一番大事やろうね!

言ってしまえば、今年のWESTも戎が優勝したけど、戎より縄が上手なチームなんていくらでもいたからね。でも自分たちの出したいものがハッキリしてて、それをメンバー皆のチカラを100点で出しあったときに、共通してみんなが「あなたたちが一位」って思うんやろうね。ただ、一個質問されてないことを言うと、戎のすごかったところは1言ったら10くらい返ってるところ。いつもわざわざ京都まで練習しに来てくれんねんけど、1回見たときに10個アドバイス言ったら全部覚えられへんし、その時一番感じた1、2個だけを言うねん。それを1週間後、2週間後、はたまた1ヶ月後、見たときになんか10くらい変わってんねん!その力に関してはホントに戎は凄い!彼らの優れてたとこはそこやと思う。おれが言った一つの問題点に対して、全員が同じ目線で議論してたんやと思う。2,3人が考えて、お前らおれに付いてこい!じゃなくて、ひとつの問題点に対して6人全員が議論した。すると問題に対する解決策が見つかるだけじゃなくて、そのプロセスは他のところにも生きてくるし、新しい発見にもつながる。それがチーム活動の基本になると思うし、チームとして活動する事の肝やと思う。戎はそこをすごく頑張ってくれてたと思うし、もしかしたら練習より頑張ってくれてたんちゃうかな、と思う。これって難しいことやん!だってそれまでの十何年間まったく違う環境で育ってきてて、全く違う感性を持ってる、性格も違う。そんなメンバーが1日10時間くらい一緒にいて、いろんなことに気を遣いながら言いたいことを言えるかって言うと、多分言えない。1人めっちゃ強い奴がいて、そいつが言うことになんとなく乗っかれば簡単なんやけど、それを戎は絶対にやらない。絶対に同じ目線で話す、それが戎の強さやと思う。リーダーとか色んな役割があるかもしれないんやけど、みんなが同じ土俵でやってんねんから、みんなでひとつのものを作り上げるっていうのはすごく大事。ホントの意味でね。

 

I どのチームもなかなかできないその部分をやってきた戎はやっぱり強かったですね。

 

Y うん強かった。一緒に練習してるだけじゃなくて、一緒にみんなで議論して、一緒にみんなで意思決定してきたところがあの雰囲気を出すんやろうね。2人が同時に悩むくらいやったら、解決策が出るのってすぐやん。でも6人が同じ悩みを抱えたときに、1つの答えを出すのって骨折れ作業やから普通避けたいよね。けど表現ということに関しては避けたらあかんねん。会社とかでも自分の知らんうちに物事が決まってしまってることがあると思うんやけど、チームではそういうことがあってはあかんことやと思う。本来はどこでもあってはならんことやとは思うんやけど、特にチームでは絶対にあってはならんことやと思う。

 

I 人数が増えれば増えるほど難しいことですね。

 

Y うん、でもそれを身に付けようとしたら、否が応でも技術も身に付けなあかんからみんな練習するよ。多分そこに初めて基礎技術に対する能動的な気持ちが生まれて、いい技術がついていくんやろうね。

 

I 僕は「人に教える」ってことになかなか力を注げなかったんですけど、ヨウさんはなぜそこまで教えることに情熱を傾けられるんですか?

 

Y 好きなことには情熱を傾けられるでしょ?おれは多分その好きなことっていうのが、人に何かを伝えたり、共有したりすることなんやろうね。だから例えば後輩に自分の知ってる技術、自分が大事にしていることがうまく伝わった時は嬉しいし、伝わった時の変化がすごい面白い。前まであんなに下手くそやったのに今あんなに上手にやってるやん、っていう変化が楽しいし嬉しい。で、自分にも、こういう伝え方したらこういう伝わり方すんねや、こういう伝え方したらなかなか伝わらへんのやな、っていうように返ってくるし。この連続で、何かをうまく伝えることや、物事をうまく共有する、ということが自分の中に出来上がってきた。大学に入った時から教員免許を取ることは決めてて、元々はずっとやってきたバスケットボール教えようと思ってたのに、幸か不幸か大学の入学式でダブルダッチに出会ってしまって・・・ダブルダッチをやり始めていくうちに、これはどうにかしてちゃんと人に伝えてあげなあかん、こんなに面白いものはいろんな人に知って欲しい、という想いがあって、今があるんやろうね。俺が例えば人に何かを伝える、人に何かを教えるってことが好きじゃなかったら、当然ずっとプレイヤーとしてやってたやろうね。

 

I 好き過ぎてですか?()

 

Y そう、好き過ぎて!()

 

I 僕もダブルダッチは続ければ続けるほど、いいモノだなあと思いますし、ここまで人間的に得られるものが多いスポーツはなかなかないんじゃないかなあって思うんですよね。ヨウさんにとってダブルダッチの持つ、他のスポーツと違う魅力ってなんでしょうか。

 

Y まあそれは場所とかシーンによって出てくる良さっていうのは違うんやけど・・・凄い身体能力やずば抜けた感性が、すぐに発揮できない人でも一緒に縄の練習をしながら仲間意識をもって出来るところは凄い素敵なところやろうね。ダブルダッチってレギュラーがないやん!野球やったら20人いても9人しか出れへんけど、そうじゃなくてダブルダッチの場合はそこにいるみんなで何ができるかを考える。仮に一人運動神経がめちゃくちゃ悪い人がいたとしても、じゃあその人を含めてどう出していくかっていうのをみんなで考えていくことはものすごく大事なことだと思う。特にさっき言ってた世の中にとっては。このメンバーで何が出来るかっていうところ。

 

I それは僕もすごく思ってて、ダブルダッチやダンスも、もちろん技術はいるんですけど、個人の中身や個性がそれ以上に重要で、身体能力がめちゃくちゃ高いチームに運動神経じゃない部分で勝つこともできるし。いろんな面から人を見ることができるようになると思うんですよね。そこは僕もダブルダッチをしてから一番成長した部分かなあと思います。

 

Y そうやね。まあいろいろ今まで言ってきたけど、ダブルダッチの良さはやっぱり面白い!まずこれね!()

 

I そうですね!()なんかこのインタビューしてるとダブルダッチ好きになりますね!やっぱりみんなダブルダッチのことめっちゃ好きなんだなあって思いますわ。

では最後に、いま頑張ってダブルダッチの活動をしている人達に向けてメッセージをお願いします。

 

Y 最後、頑張っているみんなに。カッコいいと思うチームを見て「やばい」で終わるんじゃなくて、「なんでかっこいい」か?何がその人達をかっこよくさせているか?というのを噛み砕いて、その要素だけでも自分のものにしていかないともったいないと思う。それが勉強するってことなんやと思う。「やばい」とか言うてる暇あったら、なにが「やばい」か、を考えて欲しい。そういうものの見方をし始めると、世の中も違う見え方になってくると思うし、是非そうして欲しいなって思う。「やばい」で終わらせるのが「やばい」よね!()

 

I ありがとうございました。

 

 

 

この記事を読んでYOに出会ってみたいという方は、

是非コンタクトをとってみてください。

shimamoto_dd@yahoo.co.jp


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(※1)DUT:立命館大学衣笠キャンパスのダブルダッチサークルDig Up Treasureの略称。


(※2)ダッチゃ:京都産業大学のダブルダッチサークル。


(※3)SVP!:同志社大学のダブルダッチサークルs'il vous plait!n略称。


(※4)ツグさん:京都産業大学ダッチゃの1期生。現役時代は跳職というチームで活動。


(※5)イケポン:立命館大学BKC、FOGの5期生。現役時代はC-CUBEというチームで活動。